現在の日本は世界一の高齢化社会になっていると言っても過言ではありません。一体何が世界一なのかと言うと、その一つに高齢化率が挙げられます。高齢化率とは高齢化社会であることを表す数値として示されているものです。そのエリアに住んでいるすべての人口のうち、65歳以上の人口がどれくらいを占めているのか、その割合をパーセンテージで表しているのです。日本の高齢化率は27.3%となっていて、この数値は何と世界のどの国よりも高い数値を誇っています。

それでは世界の高齢化率はどのような数字になっているのかと言うと、ランキングの1位が日本で、日本はイタリア、3位がスウェーデンとなっています。イタリアは高齢化率は22.4%で、スウェーデンは19.9%です。どの国にも言えることですが、先進諸国に該当し、バリアフリー化の建物が多く建てられるなど、高齢者が比較的暮らしやすい政策が行われていると言っても良いでしょう。アジア諸国だけを見た場合には、日本に次韓国やシンガポール、タイや中国などでも高齢化率は高くなっています。もう一つ注目したい点として、高齢化率の上昇スピードが上げられます。国連の定義では65歳以上の人口が7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会、そして21%を超えると超高齢社会になると言われています。このスピードは高齢化社会から高齢社会にどれくらいの期間がかかるのかで表すことができ、日本の場合には1970年からの24年間で移行がなされました。これはかなり驚異的なスピードだったと言われています。

日本の高齢社会の理由としてはいくつかあると言われています。その一つに挙げられるものが医療制度の充実です。日本には国民保険制度があり、医療制度が整備されているので、医療クリニックを受診しやすい環境にあると言えるでしょう。高齢者に対し健康診断を行う制度も設定されているので、これが病気を未然に防いだり、早期発見から早期治療を実行することが可能になっています。そして生活保障制度の充実もあげられます。年金制度などの様々な生活保障制度が設定されているので、高齢者にとっては貧富の差がないのが特徴です。劣悪な健康状態になることもあまりなく、多くの高齢者が長生きすることができる環境にあると言えます。そして三つ目には学校教育の充実が挙げられます。国民全体の健康に関する知識や関心が、学校教育が充実したことにより高まっています。

平均寿命の国際比較をしてみると日本は世界的に見て第2位の80.98歳となっています。香港が第1位で81.32歳、それに続いてキプロス、アイスランド、スイスと続きます。寿命には健康寿命というものがあり、健康寿命とは日常生活に支障のない期間のことを指しています。日本人の健康寿命は世界のトップクラスにあたり、何よりも健康寿命も重要と言えるでしょう。

このように日本では高齢化は大きな問題となってきていますが、先進諸国でも大きな問題になり、これは世界的にも進行していると言えます。その中でも特に日本の場合には進行が早く、世界的にも高い水準を誇っています。現在の日本の高齢化社会はどうなっているのか、そして今後どうなっていくのかをしっかりと把握することが求められます。高齢化の進行による日本の未来としては、2016年に65から74歳までの人口が1768万人とピークを迎えました。しかし2028年までにはこれが減少傾向になると予想されているのです。

しかしその後再び増加になると言われていて、2041年には1715万人まで増加、75歳以上の人口は2054年までには継続的に増加することが予想されています。日本では高齢化とともに少子化も進行しているのが実情です。高齢者の死亡数は減少しているのですが、出生率が落ちているので、総人口が減少し続けていると言えるでしょう。2010年に総人口がピークを迎えたものの、その後減り続け、2018年には何と150万人も減少してしまっています。このまま長期的に人口減少が続いていた場合には、2053年にはなんと9000万人に割り込むとも予想されているのです。このようなことから高齢者人口を支えている生産年齢人口の負担が大きくなることが予想されます。このような状態が続けば2065年には高齢者一人に対して、生産年齢人口1.3人の支えが必要な時代が予想されるのです。

高齢化は十数年前から始まりましたが、現在でもなお進行していて、日本の経済や社会には大きな影響を与えていると言っても過言ではありません。高齢化だけが、少子化に絡んで、より深刻な状況になっているのが現状といえます。さらに進行が予想され、若い世代にとって大きな負担となりのしかかる可能性も考えられます。このようなことにならないためにも、施策や取り組みを行っていかなければ、日本は立ち行かなくなる可能性もあります。まずはこの高齢化社会の問題について、より理解を深めていくことが求められるでしょう。