何らかの事情で腰痛を患っている方は日本人の中に8割近くいるとされ、整形外科などに一度は足を運んだ経験を持つ方も少なくないのではないでしょうか。実は腰痛とは、そもそも腰の周囲の痛みや不快感を指している症状の総称なのであって、いわゆる病名というわけではありません。
しかし実際痛みがあればそのまま放置することもできず、たとえ病院へ行くほどではないと思っても、場合によっては自分で市販の痛み止めを飲んだり、湿布薬を貼ったり、腰痛バンドを締めるという対処療法をすることもあると考えられます。また腰を痛めた理由が自分で分かっている場合には、できるだけ早く病院へ行って医師に相談することも多いでしょう。
ところで腰痛は大きく分けると特異的腰痛と非特異的腰痛に分類されますが、特異的腰痛とは病院で検査をして原因がわかるものであり、非特異的腰痛とは病院で検査しても理由がわからないものです。しかも腰痛を感じている多くの方にとって残念なことには、原因がわかる場合より原因が特定できない場合、つまり非特異的腰痛のほうが圧倒的に多いとされているのが現在の医学的な状況なのです。さて、その腰痛の原因は何かといいますと、一般的に多くの方がご存じなのは姿勢が悪くて腰に思わぬ負荷がかかってしまった場合でしょう。長時間同じ姿勢、それもよろしくない姿勢を続けることで腰に少なからぬ負担がかかったり、血行不良を起こしたりということがあるのです。そしてその他にあまり知られていないかもしれませんし、意外に感じられるかもしれませんが、腰痛の原因のひとつには自分では気づかぬ心理的なストレスということも挙げられます。
それでは順番に①脊椎の髄核のズレ、②心理的なストレス③血行不良について説明していきましょう。
①脊椎の髄核のズレ
姿勢が悪いことで起こる腰痛の原因である脊椎の髄核のズレのおもな原因でよく知られたものは、ぎっくり腰でしょう。もちろん髄核に多少の負担がかかっただけではぎっくり腰までにはならず違和感程度の症状で済む場合もありますが、長時間前かがみを続けるなどの姿勢をとって髄核や椎間板といった周囲に負担をかけ続けるのは考えものです。
②心理的なストレス
次に普段はあまり自覚していないことが一般的かもしれませんが、心理的なストレスが腰痛にどのようにかかわってくるのかを説明しましょう。心理的なストレスが腰痛にかかわるには、ある程度の長期間のストレスが心に影響するということです。つまりもともと痛みを抑制したり、快い感情に関連して分泌される脳内物質のドーパミンが、長い間の心理的なストレスによって分泌が正常ではなくなってしまうのです。そのため普段ならドーパミンによって身体に起こるさまざまな不快な現象の軽減がされなくなります。その結果として腰痛のみならず、自律神経のバランスが崩れたり、めまいや動悸や頭痛などのいろいろな症状が現れます。しかもこのようなドーパミンの不足による症状は、放置しておくとますます悪化するという悪循環に陥らないとも限りませんので注意が重要です。
③血行不良
最後に、血行不良が腰痛にどうかかわってくるのかを考えてみましょう。一口に血行不良といっても原因はいくつかありますが、もともと腰は身体の中で一番重いとされる頭を含む上半身を支えています。そのため背骨のS字カーブが適切であることや筋肉を適度に鍛えて筋力がついていることが重要なのです。けれども運動不足や猫背、または反り腰といった悪い姿勢が癖になっていることなどで、腰に普通以上の負担をかけてしまう場合があります。そうしたことは身体には筋肉疲労として現れますが、これは血行不良によって引き起こされたものであるといえます。ここまで腰痛の原因について3つ説明しましたが、これらはあくまでも非特異的腰痛についてです。すなわちこれ以外にもMRIなどの画像検査で特定される特異的腰痛として、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、圧迫骨折やがんの脊椎転移などの原因も考えられます。そこで自己の対処療法をしても一定期間以上長く腰痛が良くならないと感じたときには、速やかに医療機関を受診することも大切なのではないでしょうか。
そこでお勧めしたい腰痛対策は、病気のセルフチェックができる書籍やネットなどの活用です。まずはそういったところでセルフチェックして、それによって判断し、受信するか否かを決めてはいかがでしょう。また腰痛の予防方法は、普段から一定以上の適切な運動をして筋力を鍛えることも重要です。腰痛とは、ぎっくり腰のような場合にはいきなり運動をしてはかえって痛みが増すばかりですが、腰が多少痛いからといって普段からダラダラとして身体を休ませ過ぎても痛みが続くことがあります。自分の年代によって自分に合った運動を続けるなど、筋力の低下を防ぎながらいつまでも若々しい行動ができるよう、またストレスをため込まないように注意をしながら生活することが腰痛にならない秘訣かもしれません。
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