「呑気症」という言葉を耳にしたことがありますか?これは空気を過剰に飲み込んでしまう症状を指す別名で、医学用語では「空気嚥下症」と呼ばれています。一見些細な症状に見えますが、放っておくと健康被害を招く恐れもあり、適切な対処が必要な症状なのです。そこで今回は、呑気症の原因や症状、治療法と予防方法について解説します。

  1. 呑気症のしくみ 呑気症の正体は、食事中などに過剰に空気を飲み込んでしまうことです。通常、飲み込む空気は胃の中でゲップとしてすぐに排出されますが、呑気症の場合は大量の空気が排出されずに溜まってしまいます。その結果、様々な不快な症状が現れるのです。
  2. 大量の空気を呑み込む原因 一体なぜ人は空気を過剰に飲み込んでしまうのでしょうか。呑気症の主な原因は以下の3つが挙げられます。

(1)舌の動きが遅い 食事の際、十分に咀嚼(そしゃく)せず、早く飲み込んでしまうと、口の中に空気を取り込んでしまいます。舌の動きが追いつかず、空気と一緒に飲み込んでしまうのです。

(2)歯の噛みしめ ストレスや緊張、集中するときなどに無意識のうちに歯を噛みしめる「歯ぎしり」の習慣があると、空気を飲み込みやすくなります。歯を噛みしめると口が開いた状態になり、そこから空気が入り込むためです。

(3)逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流する「逆流性食道炎」がある人は、空気を飲み込みやすくなります。飲み込む際に違和感があり、無意識に空気も一緒に飲み込んでしまうからです。

  1. ゲップやガスの不快な症状 このように大量の空気を飲み込むと、様々な不快な症状が現れます。代表的な症状としては以下のようなものがあります。
  • ゲップが出る
  • 胃部がむくむ
  • お腹が張る
  • ガスが出る
  • 胸やけがする

ガスが溜まることで腹部膨満や胸やけなどの症状が出るほか、頻繁なゲップも避けられません。ガスはお腹から排出されるため、その音や臭いにも悩まされます。

  1. 治療方法は歯科や口腔外科を受診が第一歩 これらの不快症状を改善するためには、まず歯科や口腔外科を受診することが重要です。歯科では、歯ぎしりの有無や、舌の動きを確認します。歯ぎしりがある場合はマウスピースを作製したり、習癖の治療を行ったりします。

また、舌の動きが原因の場合は、舌運動訓練なども行われます。この訓練により、食べ物をしっかり噛めるようになり、空気を飲み込まなくなります。

  1. 心療内科なども受診が有効 一方、原因が逆流性食道炎や、ストレス、緊張などの精神的なものだと判明した場合は、内科や心療内科も受診する必要があります。逆流性食道炎であれば、酸化剤などで治療し、症状の改善を図ります。

また、ストレス性の原因の場合は、専門家によるカウンセリングや心理療法が行われます。無意識の行動を改善し、空気を飲み込まない意識付けを行うことが大切です。

  1. 自分でもできる予防や対策 上記のような専門家による治療に加え、日頃から自分で予防や対策を心がけることも重要です。まずは以下のようなセルフケアを実践しましょう。
  • 噛む回数を十分に増やす
  • ゆっくりと食べる
  • うまく咀嚼できる固さの食べ物を選ぶ
  • 水分をしっかり取る
  • 深呼吸を心がける

特に深呼吸は、空気の飲み込みを改善する効果が期待できます。しっかりと腹式呼吸をすれば、食事時に不必要に空気を取り込まなくなるはずです。

  1. 放置すると深刻な症状も 呑気症は一見したところ軽い症状に見えますが、放置すれば深刻な症状を引き起こす恐れがあります。具体的には以下のような症状が考えられます。
  • 過酸化で胃や食道に激しい痛みが走る
  • 発作的な腹痛
  • 胃もたれ、胸やけの悪化
  • 睡眠の質が下がる

長期的にガスが溜まり続けると、胃腸に過度の負担をかけ、胃潰瘍などの病気の原因にもなりかねません。症状が重くなる前に、早期から対策を講じることが賢明です。

呑気症は改善可能な症状 過剰に空気を飲み込んでしまう呑気症は、様々な不快な症状をもたらします。特に放置すれば、健康被害に繋がる恐れもあるため、早期の対処が肝心です。

歯科や内科、心療内科などを受診し、適切な治療やカウンセリングを受けながら、自身でも予防対策を講じることが重要です。コツコツと対策を続ければ、必ず呑気症の症状は改善できるはずです。一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら、健康で快適な生活を取り戻しましょう。