健康で病気知らずは何物にも代えがたい財産です。元気であれば働く事も、趣味に没頭したり旅行に出かける事もできます。元気で病気知らずであれば人生を謳歌できるのは言うまでもありません。元気で病気をしなければ、薬代や通院費など費用が掛からず家計の負担にもなりません。日本の年金制度は破綻寸前と言われ、いかに老後にお金をかけずに有意義に生活ができるかが多くの人の課題になっています。それゆえ健康長寿でいることは国民全員のテーマであるといえます。
60歳を過ぎると多くの人が定年になり、職場を退き現役を引退しなければいけません。特に会社人間で長年活躍してきたサラリーマンにとって、定年退職ほど自己喪失感を覚えることはないと言います。年齢を重ねれば、両親が亡くなったり、子供たちが独立して家を出ていくなど家族構造が激変していきます。今まで当たり前としてあった日常生活や家族関係が変化していくと、それに適応できなくなり強いストレスを感じてしまう高齢者も多いです。燃え尽き症候群というものは、まさにこうした状態を象徴するものです。仕事や子育てこそが生き甲斐であると感じていた人ほど、その喪失感は計り知れず、この先になにを糧に生きればいいのか途方に暮れ憂鬱になってしまう高齢者も多いんです。
また自分自身が高齢者になったということ自体を受け入れられない人も多く、それがストレスになっている人も存在します。まだまだ自分は若いと思っているものの、気力はあっても体がついていかないということが多々起こり、絶望感に苛まれるんです。定年退職後の夫がずっと家にいて、妻の心身に不調をきたす病気も最近注目されています。その病気とは夫源病といわれています。夫が仕事に行っている現役の時には、妻は家で自分一人の時間が持てました。夫に干渉されることなく、家事をこなしたり友人とランチに行くこともできていたのです。だが定年退職して夫がずっと家にいるようになると、家事に干渉してきたり、友人とのランチも気軽に行けなくなってしまいます。
すると妻は束縛感や閉塞感を感じ、事由がなくなってしまい強いストレスを感じるようになります。妻はイライラしたり安心して睡眠できないなどの症状がみられるようになります。このように人間関係や仕事、家庭問題や家庭内の変化がストレスの原因になることを、心理/社会的ストレッサーと言います。心理/社会的ストレッサーはメンタルを落ち込ませたり、うつ病に導くといったことがあります。またストレスによる心の不調のほか、体の様々な部位に不調をもたらすようにもなるんです。このストレスでおこる症状や不調は実に多岐にわたります。
軽度であれば疲労感・倦怠感、食欲の減退や増加、体重の減少や増加寝つきが悪い、夜中に目が覚めるなどの睡眠障害がみられます。さらにストレスが蓄積し、それが解消されないでいると本格的なストレス関連疾患、つまり心身症に陥るようになっています。その疾患の代表的なものは、気管支喘息などの呼吸器疾患、胃や十二指腸潰瘍の消化器疾患、糖尿病などの内分泌疾患、アトピーや脱毛の皮膚系疾患、メニエール病などの耳鼻科疾患など実に多岐にわたります。またストレッサーは心理/社会的ストレッサーだけとは限りません。
ストレスとはそのほかに、物理的ストレサーや化学的ストレッサーもあります。物理的ストレッサーとは暑さ寒さなどの寒暖差、化学的ストレッサーとは薬物、公害物質、酸素欠乏・過剰などをあげることができます。最近は地球規模で二酸化炭素排出量も増加し、温暖化になっているので、酷暑なども高齢者にとって過度なストレスになるのは言うまでもないです。そのうえ黄砂やPM2.5など化学物質も、高齢者にとっては厳しいストレスにもなります。物理的ストレッサー、化学的ストレッサーに対処するためには、エアコンや空気清浄機をうまく活用したり、着るものを一層気を付けるなど自己防衛も大変重要です。
また小まめな水分補給を心がけることも大事といえるでしょう。ストレスによる体の不調は軽視することは危険です。できるだけストレスを回避したり、ストレスと上手に付き合うなどストレス量を少しでも軽減するストレス対処法が非常に重要になるのは言うまでもありません。それにはストレスによる小さなサインも見逃さず、それに早く気づくことが大事です。イライラしやすくなった、飲酒量が増えたなど些細なことも見逃さず早めに対処することが大事です。
また周囲の家族もこうした変化に注意深く、気付いてあげることも大事であると言えます。ストレスコーピングといってストレス対処法というものが存在します。ストレスコーピングには、ストレスに対してうまく働きかけることでストレスをなくす方法があります。自分もしくは家族や友人など周囲の人の協力によって解決する問題焦点型コーピングというものが存在します。また家族や友人、カウンセラーや医師などに話を聞いてもらうことなどによりストレスを減らす回避型コーピングも存在するんです。
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