生活習慣の影響を受けて病気を発症する生活習慣病は、代表的なものにメタボリックシンドロームがあります。
メタボリックシンドロームは肥満体のイメージで、特にお腹周りにお肉がついている人を連想すると思われます。
具体的にどんな病気かというと、実は肥満をベースに高血圧や高血糖、脂質代謝異常などを併発することが多い病気と説明できます。
メタボリックシンドロームそのものは、お腹の内側や内臓周りに脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満が、診断における基本的な条件となります。

更に高血圧に高血糖や脂質代謝異常のいずれか2つが当てはまれば、これでメタボリックシンドロームの基本条件は満たされた形です。
メタボリックシンドロームが注目を集めたり、診断基準を設けて改善の指導や予防の取り組みが行われているのは、4つの要素が相乗的に併発しやすいのが理由です。
また、肥満が進行すると他の病気も悪化しやすく、併発していなくても併発のリスクが高まることが分かっています。
複数危険因子を併発するメタボリックシンドロームは、別名死の4重奏とも言われますから、油断したり甘く考えないことが大切です。
併発を促進するのは主に内臓脂肪が原因なので、皮下脂肪が多いタイプの肥満であれば、病気の進行や悪化のリスクは低いといえるでしょう。

とはいえ、生活習慣を改めなければ蓄積するのが皮下脂肪から内臓脂肪に移行したり、高血圧や高血糖など他の病気の併発で急激にすることもあり得ます。
つまり肥満は皮下脂肪か内臓脂肪に関わらず、注意したり気をつけて生活習慣を見直す必要があります。
メタボの診断基準は、おへその高さのウエストが男性85cm・女性90cm以上で、血圧や血糖、血清脂質のいずれかの基準値が2つ以上外れる場合となっています。
これは日本における基準なので、海外の基準を参考にして診断基準から外れるからと安心しないように気をつけましょう。
日本のメタボリックシンドローム事情は、予備群を含めると40歳から74歳男性の2人に1人、女性の5人に1人があてはまる状況です。
しかも増加傾向にあることが分かっていますから、誰にでも発症のリスクがあって、他の関連する病気と併発する恐れがあると認識することが大事です。
メタボリックシンドロームの放置や進行は、動脈硬化の促進と脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクを押し上げます。
中高年に多い印象ですが、実際には若い人も発症するケースがありますから、年齢や性別に関係なく自分にも起こり得ると捉えて常に注意が必要です。
メタボリックシンドロームを引き起こすのは、食生活や運動習慣によるところが大きいですから、これらの見直しや取り組みが肝心です。
メタボの診断基準は高血圧が空腹時にdlあたり110mg以上で、高血圧は収縮期の最大が130mmHg以上、拡張期の最小血圧が85mmHg以上です。
脂質代謝異常は高トリグリセリド血症がdlあたり150mg以上、低HDLコレステロール血症が40mg未満です。
いずれも決して極端な数字ではありませんから、太りやすい体質の人は特に、油断すると簡単に基準に該当してしまう恐れがあります。
ウエストの周囲を測って診断を行う理由は、内臓脂肪がお腹周りにつきやすいからで、内臓脂肪の蓄積が生活習慣病を引き起こすからです。
内臓脂肪が蓄積すると血糖値を一定に保つインスリンの働きが妨げられ、血圧が上昇したり動脈硬化に繋がる血栓ができやすくなります。
逆に満腹中枢に対する刺激や食欲の抑制が落ちて、食べても満腹感を感じにくくなったり、食欲が止まらなくなることに至ります。
このように、内臓脂肪の蓄積は悪影響ばかりで、健康が害されたり病気のリスクが高まりますから、ウエスト周囲と血圧や血糖値、血清脂質の組み合わせでメタボ診断が行われるわけです。

腹部肥満はメタボリックシンドロームの一因で、体重を身長で割って2乗するいわゆるBMI指数で判断できます。
BMIが18.5から25未満なら普通体重なので、これより低いと低体重、反対に増えていくほど軽度肥満や中度肥満となっていきます。
BMI35以上40未満は肥満3度の高度肥満、40以上となれば肥満4度の超高度肥満です。
25以上でも健康に問題がなければ心配要りませんが、高血圧や高血糖、脂質代謝異常のいずれかに心当たりがある場合は要注意です。
腹部肥満の予防には食事の改善と適度な運動、そしてストレスの発散が必要といわれています。

医療機関に受診してメタボリックシンドロームと診断されると、食事による改善が指導されたり有酸素運動の勧めがあります。
我慢が求められるので最初は抵抗感があるでしょうが、なるべく無理なく続けられるように、少しずつ食事を見直したり軽い運動から始められます。

高度肥満となると治療薬の処方も検討されますが、中度肥満までは食事や運動の取り組みが中心です。
健康を意識したり運動することは大切ですが、動脈硬化が進んでいる状態でいきなり激しい運動をすると危険ですから、まずは医師に相談をおすすめします。