今年のゴールデンウィークには悲しい悲報が相次ぎました。芸能界の一線で活躍していたトップスターの俳優さんやお笑い芸人さんが相次いで自死されてしまったんです。両者は芸能界でも成功をおさめ夫婦円満で、仕事でも家庭生活にも問題が見られないように誰もが感じてました。それどころか、パーフェクトなおしどり夫婦としても名高く、財産や子宝や孫まで恵まれ誰もがうらやむ生活をしていたように感じられていたんです。

死の本当の原因は当の本人にしか分かり得ないことですが、両者に共通するのは高齢に差し掛かっていたという点なんです。66歳や60歳というと、世間では定年退職を迎える時期にちょうど匹敵します。さらには若いことは違って、明らかに体力などにも衰えが見られ始める時期ともいえるのです。今迄で来ていたことが、体が言うことを聞かない、すぐに発想したりアイデアを出せたこともの頭の柔軟性が衰えて良い考えが浮かばなくなります。

そして高齢になってくると世間でも一線で活躍することが難しくなりますが、芸能界であればなお一層与えられる配役や役割は減ってくるのは当然のことです。そうした自分自身と世間の見る目のギャップや体力や制振の衰えがあったであろうことは簡単に想像できます。特に成功を収めていた両者ですから、なおのこと自分の存在価値や存在意義に疑問を持ち始めるのはいう案でもありません。

そうしたことが悩みとなって、深い闇に落ちていってしまったのでしょう。このような事は世間一般の人でも起こり得ることなのです。定年退職を迎えたり、工期高齢に差し掛かると、仕事を退職したり愛する妻が先立ってしまうということもあります。すると自分の価値の低下や、目標を見失ったり、生きがいを失ってしまいます。孤立や孤独感の増加が見られたり、不安感の増加、無気力や無関心になるのは言うまでもありません。孤独を埋めようと子供たちと同居を始めてみると、価値観やライフスタイルのずれによって不満や怒りも増幅しやすく、感情の不安定化も甚だしくなります。仕事や家庭での役割もなく、やることもなくて不満に固執するあまりより一層頑固になることも多く、子供たちもさじをなげて同居を解消しまた孤立や孤独を深めるわけなのです。

当の本人は、仕事や孫、パートナーに趣味などに打ち込むことも出来なくなってストレスをますます蓄積させます。次第にそのストレスは慢性化し、ストレスからの疾患も見られるようにもなってきます。そうした疾患を心身症というのです。心身症とはストレスによって起因し、体のあちこちに症状や弊害が起こるようにもなるんです。循環器系に呼吸器系、泌尿器系や神経系や消化器系とあらゆる個所に問題が生じるようになるんです。神経が過敏になって夜眠れなくなる、悩みやストレス過多で食欲が減退する、ストレス源の夫と一緒にいるだけで過呼吸になるなどといったことも起こり得ます。そして心身書を適切に治療せずにいると、うつ病やパニック障害など完全なる精神疾患に陥ってしまことも珍しくありません。

うつ病は自傷行為や自殺願望なども起こり得るので看過することはできません。必ず適切な医療機関でカウンセリングや投薬治療を行わなければいけないのです。特に高齢者のうつ病の場合は、一般のうつ病と違って症状の現れ方が独特です。ある一定の症状が強くあらわれたり、ある部分はあまり症状が出ないなどして専門の医師でもその診断が難しいともいわれます。そして高齢の場合ライフステージやライフサイクルが変わったり、環境が変化するだけで発症するにとどまりません。基礎疾患があり、ステロイド系のお薬を飲んでいたり、抗がん剤や血圧降下薬でもうつ病を発症しやすいともいわれるんです。そのため精神科や心療内科での診察の際には基礎疾患の申し出と、お薬手帳を必ず医師に提示して診察してもらうことも大事なのです。このような高齢者独特の心身症や、うつ病にパニック病にならないためには日常生活の見直しも非常に大事になってきます。

基本的には規則正しい生活を心掛け、朝日を浴び体内時計をリセットするように努めることも大事なのです。するとホルモンの分泌も正常になり、副交感神経を安定させ精神が安定しやすくなるともいわれます。日中はジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を日課にするとよいでしょう。そうすることで自宅に帰ってからの食事が非常においしく感じられ、食欲増進が見られるようにもなるんです。最も大事なのは、趣味や楽しみを持つことです。仕事をしていた時のように好きなことに没頭できる時間は、余計なことを考えずストレス発散になるんです。共通の趣味の友人や仲間もできて、コミュニケーションも促進され自宅で一人引きこもっている暇はなくなります。趣味が見つからない場合はボランティア活動や近隣の子育て支援などを手伝うなど、人のためになることを積極的に行うことで自分の存在価値を高めていくことも出来ます。